ヴァルドラプトルは、最古のオルニトミモサウルス類だった!!

ほとんどが海外版ウィキペディアのパクリですが、日本国内におけるヴァルドラプトルの知名度の低さを憂い、敢えて書かせていただきます。
では、ヴァルドラプトルとはいったいどんな恐竜か? と申し上げますと、簡単に言えば、現状見つかってる中では最古のオルニトミムス類です。
もう一度申し上げます。現状見つかってる中では最古のオルニトミムス類です。
では、どうしてこうなったか、その経緯をお話ししいたしましょう。
まず、事の始まりは1858年。
リチャード・オーウェンがイギリスのウィールド地方で発見された、一つの化石標本を記載したことがきっかけでした。
Valdoraptor.jpg
(英語版Wikipediaより引用)
見つかったのは中足骨(人間でいうところの足の甲の骨)の一部のみでした。当時はまだ研究も黎明期であり、オーウェンはとりあえずこの標本をHyaleosaurusとして記載しました。
この時彼はミスがあったようで、本来は左中足骨だった標本を反転した図にしてしまったため、標本を右脚の骨のものだと長年勘違いされる遠因を作ったそうです。
その後、ジョン・ホイッテカー・ハルク(John Whitaker Hulke)なる地質学者がこの標本は獣脚類の左足の一部だと気付きました。
1888年、彼はこの標本に“Megalosaurus dunkeri”の名を改めて与えました。
しかし、これではオーウェンへの敬意が足りないと考えたのか、翌年の1889年に“Megalosaurus oweni”と改めました。
この当時は、何でもかんでも「獣脚類はメガロサウルス!」とする風潮が強く、この標本もその被害者でした。この標本は長い間忘れられ、1924年に思い出したかのようにフォン・ヒューネによってAltipsinax oweniと名付けられ、長い時間が過ぎ去りました・・・
更にその後、ジョージ・オルシェフスキーが恐竜の名前リストを整理していた際、この標本を独自性のある種とみなし、Valdoraptor oweniの名を与えました。属名は「ウィールドの略奪者」という意味で、種名はオーウェンへの敬意を示したものだと言われています。
このサイトでは、「最初にラプトルの名がついた恐竜」と紹介していますが、この名が命名されたのは1991年の再記載の時です。
よって、「歴史上最初に標本が発見された、『現在』ラプトルと名のつく恐竜」というのが正解でしょう。
要は「最初にラプトルの名がついた恐竜」でもなんでもないわけです。
ちなみに私の知る限り、歴史上最初に「Raptor」の名を冠した恐竜は、1924年に命名された、オヴィラプトルとヴェロキラプトルです。
しかし、標本は中足骨しかありませんでした。とりあえず彼はアロサウルス類としましたが、これはその後ナッシュの2007年の論文によって否定されました。
これではどんな恐竜だかわかったもんじゃない。実際ナッシュもテタヌラ類としか言えないと論文で書いています。
そのため長い間顧みられることはなく、20年の歳月が流れました。時々思い出したかのように、2004年にはホルツやカリーなど著名な研究者たちに、本種は疑問名(Nomen dubium)と言われたりもしました。
しかし、そんなヴァルドラプトルにとうとう日の光が当たる時がやって来ました。今年度発行された論文で、アレイン等が行った研究により本種の再評価が行われました。
この論文によると、NHMUK PV R2559(=ヴァルドラプトル)ならびにウィールド地方で発見された獣脚類の骨格の一群は、その形状や骨格の長さと幅の比率がオルニトミモサウルス類に近いことが判明した旨が述べられています。
本種の発見された地層の年代は、1億3600万年前・白亜紀前期ヴァランギニアン(Valanginian)です。
これは同じく最古のオルニトミモサウルス類と言われるヌクウェバサウルスもほぼ同年代です。
以上のことから、ヴァルドラプトルは最古のオルニトミモサウルス類だと言えます。
そのため復元画を描くときには、シノルニトミムスやヌクウェバサウルス のような姿で描く必要があると言えるでしょう。
(描く人がいるかは謎ですが。むしろ誰か描いてくださいお願いします)
高校の頃の筆者のように、憶測だけでネオヴェナトールの出来損ないとして描いてはいけません。

なお、同論文では1923年にヒューネによって記載されたテココエルルス(Thecocoelurus)もオルニトミモサウルス類とされており、両者が同種の可能性も出てきています。
その場合、国際命名規約によりヴァルドラプトルの名はテココエルルスの別名(シノニム)とみなされ、消滅する(適切な学名として使用できなくなる)可能性もあります。
参考文献
1.http://en.wikipedia.org/wiki/Valdoraptor

2.G. Olshevsky, 1991, A revision of the parainfraclass Archosauria Cope, 1869, excluding the advanced Crocodylia. Mesozoic Meanderings 2 pp. 1-196


3.R. Allain, R. Vullo, J. Le loeuff & J.-F. Tournepiche (2014) European ornithomimosaurs (Dinosauria, Theropoda): an undetected record. Geologica Acta 12(2) (advance online publication) June 2014.

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ヴァルドラプトルは、最古のオルニトミモサウルス類だった!!」への2件のフィードバック

  1. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    初めてコメントさせていただきます(今までなぜかコメント欄のリンクが機能しなかったのです)。何かとお世話になっております。
    イギリス産(というかヨーロッパ産全般)はなんというか、かなり混沌としてますよね(笑) ディノプレスにそのあたりの記事がありましたが、それから10年余りでなんとか光明が差してきたといった感じでしょうか。
    ヌクウェバサウルスと同年代というのは興味深いです。時期が時期ですから、ヨーロッパとアフリカの間の往来を示しているのでしょうね。

    いいね

  2. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    此方では初めまして。コメントありがとうざいます。
    ディノプレスは確か「忘れられそな? 肉食恐竜」の記事が秀逸でした。
    同誌では、イギリスの恐竜だと確かエオティラヌスが中心的に取り上げられていた記憶があります(※ディノプレスは未所有でして)ほかによく研究されてるのはスケリドですね。全身骨格も発見されてましたし。
    確かにヌクウェバサウルスとの関連性は気になりますね。そのヌクウェバの姿も未だ全容は明かされてませんが・・・。

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