福井県立恐竜博物館 2014年度特別展「スペイン 奇跡の恐竜たち」レポ

※食事中気分を悪くする可能性のある表記がございますので、閲覧の際はご注意ください。

発見地はドン・キホーテの舞台になったカスティーリャ=ラ・マンチャ地方です。

※ドン・キホーテとは
自分は騎士だと言う夢想にとりつかれ、欧州各地で暴れまわった男として描かれた。風車を竜と思い込んで突撃する場面が有名。
ヤング世代にわかるように解説すると、要するに「涼宮ハルヒ」みたいなオッサンである

この写真のドン・キホーテ(馬に乗ったヒゲのオッサン)と、サンチョ(※ドラクエ五作目のあの人ではない)の表情をご覧になれば、だいたいはご理解いただけるでしょう。

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さて、なんでドン・キホーテが恐竜と一緒に出ているのかと申しますと、スペインの代表的な存在であるとともに、この作品と、今回展示されていた恐竜たちが発見されたカスティーリャ=ラ・マンチャ地方は深いつながりがあるからです。

この地方はドン・キホーテの舞台となった場所で、彼は劇中でこの地方の風車を「竜」と勘違いしたという描写がございます。

展示解説曰く、

『ドン・キホーテが幻として見た竜はコンカヴェナトールたちであり、彼はこの地方での恐竜発掘を予言したのだ!』とのこと。

何はともあれ、コンカヴェナトールと向き合うドン・キホーテのイラストはむっちゃカッコよかったです・・・!

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(※コンカヴェナトールと対峙するドン・キホーテ。スペインの学者によるかき下ろし)

さて、今回の特別展は、ラス・オヤス(1億2500万年前頃の地層)とロ・ウエコ(カンパニアン~マーストリヒチアン辺りの地層)から発掘された古生物の紹介です。

今回の展示は恐竜以外もかなり充実していたのが高ポイントです。
当時の翼竜や爬虫類、果ては水生昆虫やザリガニなどについても、詳細な展示がなされていました。

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(白亜紀前期スペインの湖沼生態系の復元画)

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(コオイムシの仲間である白亜紀前期の水生昆虫・イベロネパの化石)

古生物を網羅し、当時の生態系を再現しようとする研究者の努力を感じました。これは丹波竜プロジェクトにも通ずるものがありますね。

遼寧省の展示だと、植物や昆虫も丁寧に展示されていますが、こういった古生態系全般を網羅できる展示は結構珍しいかと思います。

それにしても恐竜の特別展なのに、水生昆虫を丁寧に紹介するというのが凄いです。
まさかアメンボやコオイムシを見るとは思わなかったです。美麗な復元画もあり、売店で売られていたキャンディの箱にまで掲載されていたほど。

 

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(スペインの水生生物の復元画)

ちなみに当時コンカヴェナトールの生息していた地域は沼のような湿地帯の近くだったようです。

そういえば篠山層群もそうでしたが、なんか車軸藻って化石に残りやすいみたいですね。
水中に生えるから堆積しやすく、それゆえ化石になりやすいんでしょうか?

そして今回の目玉は、腰にコブ持つコンカヴェナトール。
このサイズはあまり体温調節としては不適に見えますので(そもそも背びれ=体温調節説も最近怪しくなっている気が・・・)、おそらくは性的なディスプレイに用いられたのでしょう。

しっかし、この保存状態の良さ!!
見てください! 足の肉球部まで事細かに残った化石。それに全身骨格がクッキリ残った美しさ・・・!
まさに絵に描いたような骨格です!

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(コンカヴェナトールの全身骨格標本と肉球の痕跡。なお全て実物である)

 

ちなみにカルカロドントサウルスやアクロカントサウルスに近縁とされています。
特別展では復元骨格と復元模型も展示されていました。

 

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(コンカヴェナトールの復元骨格模型)

 

保存状態も良く近縁種もいるため、かなり再現度が高いと思われます。
(なお、特別展において、フクイラプトルはカルカロドントサウルスなどに近縁とする説を採用していました)

そして、なんと

10年以上前にトリビアの泉で紹介された「恐竜の●ロ」の化石もありました。

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恐竜によると思われる、ペリット化石。骨は鳥類のものである。

実際はゲ●というよりかは「ペレット」と称した方が正しい表現でしょうね。
テレビではわかりやすさを優先したのでしょうけど。(テレビでは一応、矢嶋さんの補足解説でペレットについてのフォローもありましたが)

どっちにしろ、口から吐き出したモノには変わりないですね(^^;)
そういえば神流町恐竜センターの方が(TVインタビューで)億単位の価値があると仰ってましたが、そんなものをホイホイと出すなんて・・・。

太っ腹すぎますぞスペイン!

他には、ペレカニミムス(これも実物標本!)までもが展示されていました。

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(ペレカニミムス標本)
果ては、足のパッドの痕跡が残るマンテリサウルス(これまた実物!)や未記載の(比較的骨格が揃ってる)ティタノサウルス類まで・・・。

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(マンテリサウルス足の標本。これまた実物!)

 

ここまでやるとは、太っ腹にも程があります・・・!

なお、白亜紀末期のスペイン(ロ・ウエコ)は、海岸近くの沿岸だったと考えられています。

土産屋は荒木一成氏の制作されたコンカヴェナトールとペレカニミムスやイラスト入りのキャンディやお菓子など。
上にも書きましたが、キャンディ土産までに水生昆虫を入れるのには心底驚きました。OLYMPUS DIGITAL CAMERA

(お土産屋のキャンディ)
確かにイラストは綺麗ですが、まさかそこまでやるとは・・・!
鳥類や爬虫類はまだいいとして、昆虫まで出すのは、かなり素晴らしいと思います。もちろん私はコオイムシのヤツを買いましたとも。

結論として、上の上の特別展でした!
個人的には、ホーナーの展示の時のように、また巡回してくれれば良いなと思います。
なお、今回福井県立恐竜博物館はこの展示のためにレプリカを作ったらしいので、いずれはどこかの博物館にコンカヴェナトールのレプリカも貸し出される可能性もあるでしょう。むしろ量産してほしいものです。

※特別展スタッフから許諾を得て、会場内の写真を掲載いたしました。

 

おまけ。

前回博物館来訪時には諸事情で食べられなかった、レストランのティラノパフェ。

私はこれをアルティリヌスパフェと呼んでいます(笑)

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(ティラノパフェと筆者愛用の帽子)

写真のスマホはDIGNO。スケールとして参照されたし。

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福井県立恐竜博物館 2014年度特別展「スペイン 奇跡の恐竜たち」レポ」への14件のフィードバック

  1. かなり太っ腹な展示ですよねぇ。くそう、福島の巡検が無けりゃ・・・・・・。
    生態系全般の展示はいいですね。恐竜だけじゃなくて取り巻きにも光が当たるのはよいことです。どうしても化石=恐竜みたいな展示になりがちでしょうから。。。

    コンカヴェナトルの復元骨格は写真で見る限り、造形のレベルも組立もかなりよくできてますね^^
    ぜひ量産すべきそうすべき。

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    • 巡検お疲れ様です。

      フィールド調査だと、どうしても夏は潰れちゃいますよね・・・(泣)
      私もフィールド屋なので、お気持ちはよくわかります。

      生態系全般を展示することは、図鑑を書く人にとっては(挿絵を描く人など)大いに参考になりますからね。こういった展示はもっと増えてもいいかと思われます。

      量産型コンカヴェナトールはどっかの会社がやってくれたらいいですね・・・。

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      • 安達太良山で危うく遭難しそうになりました← 頂上で露頭をスケッチしようとしたら突然のどしゃ降りで生きた心地がしなかったのが正直なところです。

        量産型でいいから見たいですねぇ。関東圏に来ないものか・・・

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      • ご愁傷様です。フィールドの豪雨はどこでも大変ですよね。
        ただ、私の場合は街が近いのでまだマシ(雷は怖いですが)なんですが、山ですと比べ物にならないほど危ないですからね・・・。
        とにかく、無事でなによりでした。

        おそらく、コンカヴェナトールは関東圏にも(レプリカが)数年後には来るのではないでしょうか。
        実際、多くの地域にレプリカの貸出をしてるわけですし、可能性は結構高いと思いますよ。

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  2. 僕の間借りしているアパートに、たった今この恐竜展の図録が届きました。ここの展示はすごすぎる!と恐竜倶楽部でも話題になりましたが、昆虫や魚の展示が面白そうでした(僕個人の意見ではコンカヴェナトルの、あの中途半端な“背びれ”の役割が気になっています。ディスプレイだけでは片付かないようにもおもえるのですが、僕もうまい答えが見いだせない…)。
     博物館には中学の頃2度行ったきり、かなりご無沙汰です。またいつか行きたいです。

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    • 恐竜倶楽部でも話題になったのですか! それはすごいです。

      背びれに関しては、まだ決着は着いてないですからね。
      ディスプレイ説は現代生物から論じた推論の一つに過ぎませんし、今後もいろんな意見が出ていいと思います。確か、栄養分の貯蔵庫とする説もありました。
      そういえば、最近はディメトロドンが夜行性に適した目をしているという論文も出版されてますね。

      博物館には、ぜひまたご来訪なされることをおすすめします。
      これはあくまで個人的な経験に基づく意見ですが、街の方々も親切な方が多かったですよ。

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  3. コンカヴェナトールのレプリカは、暫く2階のエントランスあたりに展示されて、巡回展示でしょうか?
    ケラトサウルスの様に常設展に回ることもありますが、どちらでしょうかねぇ。ケルシーは巡回展示要員になってしまいましたが・・・^^
    個人的には若狭の特別展で展示されている、スコミムスのレプリカも興味があります。

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    •  >ひろさん
       初めてお目見えいたします。猛勉の瑛と申します。
      今夏、熊本に帰ってきた折に見てきたのですが、御船町恐竜博物館のスコミムスは福井の標本と同じもののように思えました。
      眼窩周りが新しい化石の発見により修正されていたといいます。写真が送れないのが残念です。御船町恐竜博物館のホームページでお確かめくださいな。

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      • 猛勉の瑛さんの仰る通り、御船町恐竜博物館のスコミムスは福井と同じレプリカです。(ニュースリリースでもそのような発表がありました。)^^
        以前実物骨格を見た時は、頭部が潰れたままだったので、修正されたレプリカで確認したかったんですよ。
        関東からは御船町はちょっと行きにくい場所+若狭まで期間中に行けそうにないため、巡回展示で見れたらいいなと・・・
        ただ福井はバリオニクスのレプリカも所蔵しているので、どちらかは常設展示に回るか、他の博物館へ貸出になるかもですね。

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      • バリオニクスはしばらく巡回要員でしょうね。
        スコミムスは、ぜひ常設に回してほしいですよね。

        ですが、スコミムスを置くスペースは大丈夫なんでしょうか・・・?(汗)

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  4. >lactea1216さん
     いかにもスコミムスは御船町におります。ほかにもファルカリウスやつい今しがた論文が発表されたあの大腕の恐竜(半分ばれました?)など
    メジャーからマイナー、もとい通好みの恐竜までそろっております。ロッキー博物館と姉妹提携しており、その研究成果も一部公表されております。
     長い休みを取って(一週間くらい)遊びにおいでください。

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    • 情報ありがとうございます。

      実は来年春に九州に行く予定ですので、その時にでも寄れればなと思っています。
      そういえば、ファルカリウスもまだちゃんと見てな買ったことに気づきました・・・。

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