メトリントサウルスじゃない、メトリアカントサウルスだ

皆さんはメトリントサウルスという恐竜の名前を聞いたことはございますか?

ジュラシックパークをご覧になった方なら、一度はご存知かもしれません。

ネドリーが胚を盗むシーンで登場した、アレです。

結論から言うと、

メトリントサウルスなどという恐竜は存在しません。

某翻訳家Tさんによる、メトリアカントサウルス(Metriacanthosaurus)の誤訳です.

このメトリアカントサウルス(Metriacanthosaurus parkeri )という恐竜、実はまだ不明な点が多い恐竜だったりします。

私の知る限りで現在発見されている部位は、部分的な頭骨、左大腿骨、一部の胴椎、尾の一部、右脛骨の一部、恥骨の一部、背中の突起?のみです。

イギリスのジュラ紀中期地層(オックスフォーディアン:1億6000万年前) から発見され、1923年フォン・ヒューネによってメガロサウルス属の一種にされていました。

が、1964年にウォーカーによって別属であることが判明し、メトリアカントサウルス(中程度の棘をもつトカゲ)の名が与えられました。
化石が断片的な割には系統的位置ははっきりしていて、グレゴリー・ポールの研究によってヤンチュアノサウルスなどと系統的に近縁と判明し、1988年にポールによってメトリアカントサウルス科(Metriacanthosauridae)が設立されました。現在ヤンチュアノサウルスの他にシンラプトルも含まれていると考えられています。)の名が与えられました。化石は断片的ですが、背中には小さめの突起があったと考えられています。

で、結局どんな姿をしていたかといえば、背中に小さな突起(もしくは背びれ?)があったらしいこと、ヤンチュアノサウルスやシンラプトルに似た姿だったっぽいこと。今のところはそれくらいしか分からないため、何とも言えないのが現状です。

はたして、ヘンリー・ウー含むジュラシックパークのスタッフは、

どういうからだの特徴を基準に、再生した恐竜(厳密にはカエルと恐竜とその他諸々のキメラ)を、メトリアカントサウルスと判断したのか?  それは永遠の謎です・・・

以上、ジュラシック・ワールド公開記念に一筆奏上しました。

 

それにしてもメトリアカントサウルスがジュラシック・ワールドにでるのかー、楽しみだなー(わくわく)

※この記事でジュラシック・ワールドのネタバレコメントは禁止です、OK?

 

参考

http://jurassicpark.wikia.com/wiki/Metriacanthosaurus

https://en.wikipedia.org/wiki/Metriacanthosaurus

http://www.paleofile.com/Dinosaurs/Theropods/Metriacanthosaurus.asp

http://jp.jurassicworldintl.com/dinosaurs/metriacanthosaurus/

(↑地味に腕が幽霊型じゃなくて、鳥っぽい復元になっているのに注目)

メトリントサウルスじゃない、メトリアカントサウルスだ」への10件のフィードバック

  1. ば~…ド級マイナー恐竜じゃ~!!確かJPのパンフにはプロケラトサウルス、セギサウルス、あとバリュオン(これはメジャー恐竜かしら?)もおったかと存じます。そんなにたくさんの種類のゲノムをよくもまあ解析できたものだ、と今でも驚嘆します(セギサウルス・・・確か初めて叉骨が発見された恐竜でしたね。大発見なのにこの知名度の低さよ…!)。
     なお、僕は小説版で名前しか登場しなかったスティラコサウルス(一番お気に入りの角竜)が出てくるといいな~と勝手に考えとります。明日が楽しみです。

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    • そうなんですよね、なぜかバリオニクスとセギサウルスとプロケラトサウルスがいたんですよね。
      確か、ほかの資料にはヘレラサウルスもいたという記述も(※ヘレラはゲーム版に登場してたりします)

      当時の古生物学の状況を鑑みるに、JPスタッフは復活させた恐竜に叉骨があったからセギサウルスと判断した可能性が高そうですね。

      スティラコサウルスは誤植で頭数増加してる場面があって笑いましたw

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  2. OK!(ズドン)

    おったまげた、メトリントサウルスなので?そいつぁコトだ!

    このあたりの分類についてはポールの先見性というか、そのあたりに驚かされますね。復元しようとしても、現状ではほぼヤンチュアノサウルスやシンラプトルそのまんまになってしまうのが難しいところでしょうか

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    • ネドリーめ、なんてことを・・・(とばっちり)

      ポールはラプトルの誤解を招いたこともあれば、このように先見性の高さもある辺り、一筋縄では行かない人ですね。
      メトリアカントサウルスの全身はいつか見つかって欲しいものです。

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  3. メトリアカント! なぜそのチョイス! イギリス代表入れときたいならメガロサウルスとかイグアノドンあたりの有名どころにしておきなさい! あと、ヒラエオサウルスとかポラカントゥスとかアカントフォリスとかサルコレステスとか…(この辺でやめときますww)

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  4. 手持ちの蔵書、DAINOSAURUS of the BRITISH ISLES によると、メトリアカントサウルスは右腸骨の一部と左右の大腿骨(+90cm)、直径10cmの尾椎と、胴椎がみつかっているそうですが、胴椎の神経棘が長さ30cm、幅7cmとかなり特徴的ですが、どこがシンラプトル的かはさっぱりです。^^;
    背中にはそれなりの瘤や帆があったことは確実ですが、全体像復元は厳しそうですね。

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    • 情報提供ありがとうございます。
      もしかしたら時代的な面を考慮に入れたのかもしれないですね。

      全体はいつか見てみたいものです。デイノケイルスができたんですから、メトリアカントサウルスだっていつかは・・・!

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  5. 今、テレビの「ジュラシック・パーク」見終わりました。ちゃんと字幕は「メトリアカントサウルス」と書いてありました。ようやった。褒めてとらすでおじゃる。
     1作目は、恐竜が間近に迫る恐怖がCGとアニマトロニクスの合成でよく表れていたように思われます。4歳のころ、おやじにビデオ借りてきてもらい、チラノとスピッターにビビりまくった覚えがあります。ちなみにグラント博士の、「チラノは動くものしか見えん」説を小学校に入るまでずっと信じ込んでいました。「ロスト・ワールド」は家族全員で見に行ったり(お土産にラプトルの動くおもちゃ買ってもらった)、「JP3」のチラノvsスピノはむちゃくちゃだ!と舎弟や学童どうしで口論(もう、ケンカという低いレベルじゃない)したり…映画のあった時期は実にいろいろなことがあったもんです。

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    • 昨日のはちょっと寝過ごしてしまい、最初のブラキオサウルスが出る場面でちょうど目が覚めました・・・。
      字幕はちゃんとメトリアカントサウルスでしたよね。アレはフジテレビのスタッフを褒めましたよ!

      ジュラシック・パークシリーズについては、後ほど改めて記事にしようかなと考えてます。
      やっぱり名作ですし。

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