白浜風土記(39日目) 海の底に潜みし鎧の者ども

恐るべきことにもう2年も白浜日記を更新していなかった。

本当に申し訳ない。

ここからは記憶を頼りに書かせていただくことをご了承いただきたい。

さて、前々回(37日目)で書いた、白浜の海底からとれた甲殻類をご紹介しよう。

白浜の海には、こんな不思議なカニたちが住み着いているのだ。

 

サナダミズヒキガニ(Latreillia valida

脚がとても細いのが特徴のカニ。エビにも似ている気がする。

 

オキナガレガニの一種(Planes sp.)

このカニは白浜の海を漂っていた海藻に付着していたものである。脚に毛があるのが特徴。

 

サメハダヘイケガニ(Paradorippe granulata)

よく見ると顔のような紋様が見えるのがお分かりいただけると思う。これは内臓の配置と関係しているらしい。

 

トゲケブカガニ(Pilumnus orbitospinis)

ドレッジ調査ではよく見つかるカニで、割と白浜の海底によくいるらしい。

 

ミツカドヒシガニ(Garthambrus pteromerus

ゴツゴツした甲冑のような体をもつカニ。写真ではわかりにくいがハサミも太い。

 

チョウチンコブシ(Tokoyo eburnea

干潟でよく見かけるマメコブシガニの近縁種。やたらとハサミが細長い。

 

ガザミ科の稚ガニ。種類は不明。

 

オキノアカモンエビ?(Plesionika lophotes?)

一応オキノアカモンエビと同定したが誤っているかもしれない。

 

このように、たくさんの甲殻類がこの海の中に潜んでいることがお分かりいただけたことであろう。白浜の海は、多様ないのちに満ちた宝の海なのだ……!

 

なお、これらのカニは同定が完了した後、記録・資料保存のため冷凍庫にて安楽死させ、アルコールに浸けて標本として保管した。

研究としての資料を作る必要性も然りだが、海底に船を使って戻すわけにもいかないのだ。ご理解いただきたい。

もちろん、標本制作の前に手を合わせ黙祷させていただいた。

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日本放浪録(20) 重富干潟を歩く(10日目)

この日は午前中に生態学会へ行き、何処へ行くか考えていた。

実を言うとギリギリまで重富干潟へ行くか迷ってはいた。ちょっと遠いし疲れたし、あまり行く気はなかった。とりあえず学会会場へ向かい、考えることにした。

そこでは重富干潟のパンフもあった。よし、せっかくだから行こう。思い直して、干潟へ行くことにした。調べてみればカフェもあるらしく、そこで昼食も取れるらしい。

干潟でカフェだって? なんならその味を楽しみたい。そう思って私は鹿児島駅から旅立った。

途中、スマホをいじり、見ようかなと思ってた「とある映画(なにかは秘密)」がつまらないという情報をネットから入手し、少々がっかりしつつ電車を乗り継ぐ。

さて、社内における記憶だが、残念ながらほとんどない。ずっと寝ていたように思う。

さて、電車を乗り継ぎ、無人駅から降り、重富干潟へ。とっても駅が閑散としており、静かな雰囲気だった。

その後、駅から荷物を背負い、干潟まで歩く。

…が、ここで悲劇的な事態が判明! なんと、干潟カフェはすでに閉鎖していたのだ…

ガッカリしながら、私は一旦コンビニでおにぎりとシュークリームを購入して昼食を取り、干潟への入口を探し回って歩いた。

すると、防砂林の松林の中に、なんとちいさな博物館があるではないか!

ここは、「重富干潟 小さな博物館」といい、この干潟やラムサール条約について解説している、小さいながらもすぐれた干潟のミュージアムだった。

(※現在リニューアルが進行しているとのこと。写真は2015年3月時点のものである)

たしかに小さな博物館だが、ミュージアムショップ・干潟の解説・生態展示と、何もかもしっかりしている、すぐれた博物館だ。

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標本展示。この干潟付近の海岸には、毎年ウミガメが産卵に来るのだという

 

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ヘラサギ模型展示。泥の感じがステキ!!

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天井には巨大なゴカイ!!

 

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館内全景。ウミガメとかもめの配置が博物館らしさを出してる

 

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干潟の生きもの展示水槽。ちゃんと潮の干満も再現されてる。

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重富干潟生きものマップ。

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ミュージアムショップ。他にも多数の書籍が…

 

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書籍売り場。品揃えもGood!

その後、熊本駅の100円ショップで購入したサンダルへと履き替え、私は干潟へカメラを持って突撃した。

残念ながら、まだ寒さが厳しく、干潟の美しいカニたちには出会えなかったが…

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コメツキガニ。この時期でも活動してるのはこの種類くらいである。

 

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海岸で休むウミウの群れ。

 

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幸せの青い鳥ことイソヒヨドリ

 

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アナジャコの脱皮殻

 

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ムギワラムシの棲管。干潟のあちこちで見られた

ほかにも、カニの死体を弄るカラスや干潟で遊ぶ若者など、晴れた空の下、楽しいものがたくさん見れたのであった。

さて、干潟のさまざまな生きものを観察した。あちこちを周りめぐると、気づけばもう3時すぎ。そろそろ鹿児島に戻り、空港へ向かわないといけない。博物館でお土産を購入し、荷物を再び背負い、明るい太陽のもとから別れを告げたのであった。

そして再び鹿児島駅に戻る。と、その前に汗を流そう(実はこの日の晩、風呂に入ることはできないのがわかっていた)。そう思い至った私は、鹿児島駅近くの銭湯へと立ち寄り、汗を流した。それがこちらだ。

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やや古びていたが、汗だらけの体を癒す、良い風呂屋であった。

そして夕方になり、空港行きのバスが出る。私は約1時間ほど乗車。窓の景色を見つめながら暫しのまどろみについた。

そして、空港。あまり時間はないので大した観光はできなかったが、安納芋をお土産に買ったことだけは覚えている。この日は結構時間があったのだ。

いろいろ土産を買ったあと、私は飛行機に乗った。10日にもわたる九州の旅の思い出を振り返りながら…

真夜中、関空に着いた。ここからすぐに白浜へ帰れれば良かったのだが、終電が和歌山駅までだった。

そのため駅近くの24時間カラオケ屋に宿泊、特撮ソングを熱唱しながら一晩を明かしたのだった…

 

なお、SUPRISE-DRIVEの点数はなかなかイイ線行ったと思う。

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そんなわけで、私の十日間の九州の旅のおはなしはこれでおしまいである。まさか、2年もほったらかしになるとは思わなかったですが…(;^ω^)

質問やツッコミがあれば、コメント欄にお願いします。

日本放浪録(13) 雨足天草:九州遠征旅行(4日目)

熊本城近くのマン喫でグースカ寝たあと、雨の中を歩く。
土砂降りで大いに困ってしまう。
何とかカバンを庇いながらバスに乗り込み、天草へ。艦々日和の漫画が濡れなくてよかった・・・
確かこの日の朝食は、前日に購入したういろうであった。
ういろうって美味しいよね!! うい~(笑)

その後、2時間程度バスに揺られ、天草市街へ到着。
書店や食事が充実していて、非常に快適に過ごせた。TSUTAYAがあったのも予想外であった。ここで艦これ公式四コマをGET!
非常に安心できる町並みであった。
さて、思い立ったが吉日というが、この日は天草の臨海実験所へ向かおうと考えた。
たぶん誰かしらの方がいるだろう。そんな甘い見通しで行った結果・・・

誰もいなかった。

当然である。その日は日曜日。誰かがいるはずはなかったのだ。
その後、私は付近を回ることにした。ちょうど雨が晴れ、歩きやすい状態となった。この辺りには富岡城跡なる御城の跡があるらしい。せっかくなので訪れてみることにした。木々の下の苔むした階段を登ると、城を復元した建物が見られた。さらに、もう少し進むと、そこには男達の銅像が立っていた。

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幕末の偉人・勝海舟と、日本外史を書いた頼山陽の二人であった。

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また、これ以外にも鈴木重成という方の銅像が建立されていた。

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付近の鈴木重成公についての展示を見て、彼が地元の偉人として尊敬される理由がわかった。
この銅像の人は、天草島原の乱の後、荒廃した天草を立て直すべく活躍されたそうなのである。
年貢の軽減を幕府に訴える、農業改革を実施する、などその活躍は多岐に渡ったとのことである。
天草に戦火を広げたのが天草士郎であれば、その焼けた土地に種を蒔き民を育て直したのが鈴木重成公なのだ。
私は天草の偉人と言えばこの人を挙げることにしたい。

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その後城の中を覗こうと入館すると、その中は昔の遺品など歴史資料はあまり展示されておらず、替りに生き物たちの展示で埋め尽くされていた。

 

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ここは富岡城を復元した建物内に作られた、富岡ビジターセンター

なんと、お城の中は、この地域の生物について紹介する自然史系施設だったのだ・・・!

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(※許諾を得て撮影)

私の愛するハクセンシオマネキも展示がされていた。3D映像の展示や貴重な文献資料なども所蔵されており、かなり素晴らしいものに巡り会えた。

偶然ではあったが、素敵な博物館を見れた日であった。

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帰りにたまたま出くわした頼山陽の歌碑。説明板のスイッチを押すと、音が鳴る。

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近くに生えてたシャリンバイ(左)  と     マツヨイグサ(右)

ポテチを食べながら、歩いて天草市街まで戻った。暑かった。

そりゃあ黒コート着てれば暑いか(笑)

この日の夕食はファミレス。隣で幼い親子が微笑ましい様子を見せていた。どんな様子かは秘密である。
その後時間つぶしに古本屋へ。以前から気になってた漫画の続刊があったので立ち読み。なかなか壮絶なラストであった。

そして宿泊はまたもや漫画喫茶。
艦これのいつ静を読む。艦々日和が読みたかったが我慢である・・・zzz

 

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天草市街にあった鈴木重成公を含む鈴木三氏の像。彼は今でも地元の人に尊敬されている。

白浜風土記(36日目) 恐怖!猛毒カニ、ラクティアを襲う!

エイプリルフールは過ぎたが、4月1日の話題をさせていただこう。

先日、故あって某水族館の展示解説ツアーを担当させていただき、カニ類について話させてもらう機会を戴いた。初めてということで様々な問題点はあったが、あのツアーで子ども達が興味を持ってくれたならば、幸いである。

その際に、私はあるカニを子どもたちにみせた。それがこの猛毒のカニである。(スマホ写真で申し訳ありません・・・)

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その時に見せたのが、このカニ・スベスベマンジュウガニ(Atergatis floridus)である。猛毒のカニとして、ネット上を問わず、各所で著名なカニである。その美味しそうなお菓子を思わせる外見に反し、その体内には猛毒が秘められている。

Wikipediaによれば、麻痺性貝毒(PSP)の成分のゴニオトキシン、サキシトキシン、ネオサキシトキシン、テトロドトキシンと、数々の猛毒を備えているという。テトロドトキシンはフグ毒と共通している。

一応、食べたら確実に死ぬというわけでもなさそうだが、死亡例はかなり多いという。ちなみに、オウギガニ科に属するカニ自体が、毒を大なり小なり蓄積しているらしい。よって、スベスベマンジュウガニに限らず、このような丸い甲羅の形状をしたカニは、不用意に食べてはいけない。

ところで、このカニはオウギガニ科に属するが、オウギガニ一族の例に漏れず、このカニも擬死、いわゆる「死んだふり」をする。触っていると丸くなり、ピクリとも動かなくなる。これによって捕食者の興味を削ぎ、身を守るのだ。

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おそらく何も知らない人間からすれば、「アレ?死んじゃった?」と思い、海に捨ててしまうこともあるだろう。これは私の推測に過ぎないが、この擬死は人間から身を守るのにも大いに役立っているはずだ。

ちなみにツアーを担当した日はちょうどエイプリルフールだったので、「このカニは触っても毒があり危ない」というネタで苦しむという、ウソのギャグをやってみたが全く受けなかった。反省会において、真顔でギャグをやったのが問題だと指摘された。より良いツアーのためには、ギャグのセンスも磨かねばならない。

 

参考

武田正倫「カニは横に歩くとは限らない」

Wikipedia(スベスベマンジュウガニ)